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 2003年の春に日本ホテル業界で「御三家」と呼ばれる超高級ホテルの一角、ホテル ニューオータニでインターンを経験。そのまま正社員としての採用を勝ち取られた石垣徹也さんの登場です。実は、取材をした時点ではまだUNLVの在校生、卒業最後の忙しい学期の最中、インタビューにお付き合いいただきました。
ホテルニューオータニ東京

さて、この春に日本でインターンをされたそうですね、受け入れ先はどのように見つけられたのでしょうか?

 私の場合は最初から帰国就職をするつもりだったので、日本の就職活動期である冬から春にかけて大学を休んで帰国し、ホテルでインターンをしながら日本で就職活動ができるようにスケジュールを決めました。

 受け入れ先は、自分の行きたいなと思うホテル、15社にメールや電話で連絡をとりました。最初はとりあえず、有給,無給は関係なく、「自分はアメリカでホテル経営を勉強している学生で、そういった人間をインターンを受け入れるようなプログラムを持っていますか?」と問い合わせをしました。それで返事が帰ってきたのが4つ。意外にも外資系よりも日系ホテルの方が反応が良かったですね。

4つ貰った返事の中で、ニューオータニを選んだ理由は?
 それぞれを比較して、一番人事の対応が良かったのがニューオータニだったんです。正直、インターンプログラムの内容そのものはどこも似たり寄ったりだったんですが、何しろニューオータニの人事が一番返答が早く、丁寧な対応をしてくれたんです。やはりそういう返答がきちっとできるホテルほど優秀なホテルなんじゃないかな?という事で。。ホテルはサービス業ですからね。あとは、過去に私と同じような外国の大学からインターンを受け入れた実績があるというのもポイントでした。
インターンは具体的に何を?

 2002年の12月から2003年の5月までだったんですが、最初の2ヶ月はサービスコールで研修をしました。サービスコールというのは各客室からの電話でのお問い合わせ対応のことです。アイロンの貸し出しとか、バスローブの追加とか、そういった客室からの注文を受けて必要なものをお届けするのが仕事ですかね。あとは「ターンダウン」 と呼ばれる業務もありました。ターンダウンというのは要はお客様のお休みの準備をする事なんですけど、ベットカバーを外して、チョコレートとかを枕元に置いて。。日本の旅館で仲居さんが布団をおろすのと一緒ですね。旅館では大抵どこでもそういったサービスをやってくれますが、ホテルでは相当ハイエンドな所しかやらないです。

 その後、2ヶ月目以降はベルでの研修でした。ロビーサービスと呼ばれるお客様のお出迎え全般を担当させてもらいました。ロビーサービスというのは非常に広範囲にわたる仕事で、お客様のお荷物を運ぶのは当然の事、館内の案内、ホテル周辺の観光スポットなどホテル内外の様々な知識を必要とされ、とても勉強になりました。そういった研修を3ヶ月やらせて頂き、トータルで5ヶ月程のインターンとなりました。

なるほどー。その後、インターンから採用まではどういった感じで決まったのですか?
 とりあえず僕は日本の就職活動シーズンと合わせてインターンを組んで帰国したので、インターン中に面接とか行ってましたね。でも、忙しくて実は2個だけしか受けられなかったんですけどね。インターンとはいえ普通に働いている訳ですからエントリーをしても、説明会や面接に行けないことが多かったんです。ニューオータニの面接も夜勤が終わってからそのまま面接に行ったりとかしてた位ですから。
えっ!? 普通に他の学生さん達と混じって面接とか受けたんですか?
 そうですね。インターンをしているからと言って選考が有利になる訳ではありません。インターンそのものはその後の採用とは全く関係無いといって良いと思います。・・・ですが、話のネタが広がるという意味では、インターンをやってすごく良かったですね。たとえば「志望動機」なんていうのはどの学生さんもあまり代わり映えしないかもしれないですけど、僕の場合は実際インターンを申し込んだ時の印象だとか、今働いている労働環境だとか。そういう所でニューオータニの魅力を語れますよね。
どんな感じの就職試験でしたか?

 試験は全部で6回でした。筆記試験もありました。まぁ、筆記とは言っても数学、国語、英語をweb上で受けるような試験でしたが。。面接は1次が説明会の後に一人3分の自己アピール。2次が複数人の学生と面接官5人で行われる集団面接。その次の3次試験が、グループディスカッション形式の面接でした。グループディスカッションでは一応ホテル学部で勉強しているという事で、議長みたいな事をやらされましたね。その後は役員面接・・・で、採用です。

 面接で聞かれる事は大体一緒、進めば進むほどどんどん偉い人が出てくるだけの違いです。「志望動機」と「大学で何をやっているか?」とかそんな感じで、特にきわどい質問とかはされなかったです。むしろそういう基本的な受け答えの中でいかに自己アピールするかみたいなものを見られていたような気がします。特に僕はホテル経営学を専門に勉強している訳で、他の全くホテルを知らない人達と同じようなことを言っても仕方が無い。かといって、相手はプロな訳ですからあまり訳の判らない事を言ってもダメですしね。。その辺は(どうアピールするかを)結構迷った所です。

で、今年の採用状況はどうでしたか?
 今年は大卒予定学生がおよそ6千人の応募の中で24人の採用。16人が契約社員、残り8人が正社員としての採用でした(正確な数字は公式発表されていないそうなのですべておよその数字です)。日本のホテルでは入社当時から経営側に廻る人材と現場で働く人材を分けて雇うものなので、私を含め正社員8人は一応経営の候補生ということになります。ちなみに専門学校卒、高校卒の学生さんたちはまた別枠での応募になっているみたいです。
他の正社員の人たちは日本の大学卒の人達ですよね? どういう人たちが多いんですか?
 特に大学でホテルを勉強をしていたという訳ではなく、普通の大学生ばかりですよ。一番仲良くなった人は外語大の人でした。大体ホテル業界を目指す人たちというのは観光業界に興味のある人達が多いので、旅行会社なんかと併願してくる人が多いです。
振り返ってみて、自分が選ばれた最大のポイントみたいなものはありますか?

 実はね、採用が決まった後に人事の方から聞いたのですが、最初インターンの申込に行った時の印象で人事の方は「この子は受からないな」って思ったらしいです(笑)。何か「目に力が無かった」とか言われました。ただ、最終面接は役員5人との面接だったんですけど、その時は面接官全員一致で僕を「欲しい!!」と言ってくれまして、それは非常に珍しい事だとも言われました。

 そういうことから考えると、結局は「パッと見」ではなくて、人間性だったんじゃないかなと思います。面接の時とか張り切って前に出てその場で目立とうとする人もいますけど、私はそういうタイプではないんです。むしろ、人同士の相互関係を大切にしたいというか。。ホテルで実際の業務をやっていくのも結局は人間関係ですから、最終的にはそういうのが大切になるんじゃないでしょうか。

 あとは年齢ですかね。私はもう28歳ですからどう考えても就職活動ではマイナスですよね。でも、それをむしろ良く見せる努力をしました。落ち着いている所を見せたり、人生経験があることをアピールしたりとか。こうやってアメリカに留学してきているのも人生経験ですよね。


 

 石垣さんの就職されるホテルニューオータニは、1964年東京オリンピック開催を前に、日本最初の1,000室級国際ホテルとして誕生した。 帝国ホテル、ホテルオークラと並び「御三家」と称されるまさに日本を代表する名門ホテルである。また、日本国内18、海外4、合計22のホテルを運営する国際企業でもある。



ところで、ニューオータニの中に他に海外の大学出身の方とかいらっしゃるんですか?
   実は今の人事課の課長さんがUNLV出身なんですよ。今回も私の就職が決まって、その方もものすごく喜んでくれて。「後輩が欲しかったんだよ」なんて言ってもらえました。その他にも1名、アメリカの大学を卒業した先輩がいるらしいです。
 石垣さんはそもそも何で留学しようと思われたのでしょうか?
   恥ずかしい話ですが、私は日本の大学も出ていまして、実はそこで2浪、1留してるんですよね。バイトばっかりやっていたんです。何かそれがスゴク自分の中でコンプレックスで、何となくそのままいい加減に就職して、納得できない仕事やっても自分の中で後悔しそうで。。で、日本の大学時代にすでに将来を決めていたサービスの勉強をするために、思い切って留学する事にしました。
なるほどー。で、UNLVに来て良かったと思いますか?

 自分の納得できる企業に就職できたという結果からみたら良かったんじゃないですかね。。ただ、UNLVが良かったかどうか?と聞かれると判らないですけどね。他にも良い学校はたくさんありますから。
  ただ、留学してよかったとは思っています。私は元々日本が大好きなんです。そんな自分がこのアメリカに来て色んな苦労をして、日本の良さを再確認できました。それが一番良かった事かな。

 あとは、ホテル業界を目指す人達とたくさん出会えた事。アメリカではホテル経営を教える大学が普通にあるのでホテルを目指す人たちは自然とそういう場所に集まってきます。でも、日本にはそういう学校が殆ど無いので同じような目標を持っている人とめぐり合う機会が少ないんですよね。こういう留学時代の出会いを大切にして、将来のために横のつながりを育てていけたら良いなと思います。

これからの日本で就職されるわけですが、目標とかはありますか?

 正直、今、日本の御三家(帝国、オークラ、ニューオータニ)は厳しいんですよね。でも、それをこれから何とか盛り上げて行きたいって思っています。今回の就職活動で外資系を受けずにあえて日本のホテルだけに絞っていたのも、実はそこですよね。正直、外資には負けたくないんです。アメリカにわざわざ勉強に来たのも、日本にホテル経営を「輸入」したいから来た訳ですしね。

 これから日本の首都圏でもどんどん外資系のホテルが進出してきて、ホテル業界はますます競争の激しい時代になります。その中で、ブランド力やネットワーク力で勝る外資系に、日本のホテルがどうやって対抗していくか? それが課題だと思っています。もちろん一人でそれができるわけではないですが、そうやって日本のホテル業界を盛り上げるまではしばらくニューオータニで頑張ろうかなと思っています。アメリカで学んで来たことを活かして、日本のホテル経営の悪い所はどんどん治して、逆に良い所はどんどん伸ばして。。そうやってやっていけば、日本のホテルはまだまだいけると思うんですよね。

最後になりますが、これを読んでくれている留学生の皆さんに何かメッセージを一言。
 今回の就職活動を通して感じた事ですが、やっぱり「何か『意思』を持っている人は強い」と思いました。何となく勉強をするのではなくて、目標を持って毎日を頑張って欲しいですね。


 帰国後はどうしても外資系企業に就職しがちな留学生。そんな中であえて外資系を捨て、日本の企業就職の道を選んだ石垣さん。まさに「和魂洋才」を体現している魅力的な方でした。ぜひ、日本のビジネスを元気付けるために頑張っていただきたいと思います。

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